生活習慣病 医師のアドバイス

生活習慣病 医師のアドバイス

安房医師会専務理事 青柳内科クリニック 青柳和美

 

生活習慣病(糖尿病、高血圧、高脂血症、肥満)で大切なことは、いずれの疾患も、全く症状のない病気で、長い期間を経過して、様々な命に関わるような病気(心筋梗塞、脳卒中、動脈硬化、、、)を併発してくること。そして、早期発見、早期治療が最も重要であることを理解していただきたいと思います。健診で異常を指摘されたら、直ぐに、医療機関を受診しましょう。

糖尿病に関して言えば、症状として『口渇、多飲、多尿、手足のしびれ、視力障害、、、、等』を指摘されておりますが、それは、よほど血糖が高い時、或は、糖尿病が進行した時の症状です。あえて、糖尿病の症状を言うならば『腹減り病』です。食べても、食べても腹が減る。昔は、いっぱい食べて、いっぱい働くことが健康のあかしでしたが、今は、何でも食べられる飽食の時代、そして、動かないで過ごす車社会です。

 

私も、仕事が終わり、夕食を食べ終わると、ゴロッと横になってテレビを見る生活が大好きです。私のようなデスクワークや車を運転する仕事についている皆さんは、神経は疲れるけれど、一つも体は使っていません。また、農家の皆さんも機械化で、昔ほど体を使う(酷使する)仕事ではないかと思われます。

 

先日、当院の患者さんでビックリすることがありました。70歳代の老夫婦2人生活で、実に毎日5合の米の飯(1年間に8俵のお米)を平らげているのです。昔から、たくさん食べる癖がついているのです。これに、おかずがつき、更には、間食、果物ですから、毎日、3500kcal以上のカロリーを摂取しております(同年齢の方の約2倍量)。『毎日、4-5時間歩いてくれないと、食べたものを消費できません。』と伝えました。皆さんにも思い当たることはないでしょうか?

 

何が悪いか?

お腹の周りについた油(脂肪)です。特に、寝る前に食べると余計にお腹に脂肪がつきます。寝る前、小腹のすいた時の果物、お菓子。アルコールを飲んだ後のラーメン!美味しいですよね!でも、これが最も悪いのです。夜遅くまで、テレビを見ずに早く寝ましょう。まずは、午後8時過ぎには食べないことを実践して下さい。

 

外来でよくお年寄りの患者さんに、『昔、食べるものに苦労したのに、今になって、食うななんて残酷だ!食えないくらいなら早く死ぬ!』と怒られます。でも、現在、男性80歳、女性86歳の世界有数の長寿国になりました。そして年を取ること(老化)自体も、生活習慣病になりやすい体質になってくるのだとお考えください。ましてや、30-40歳で生活習慣病を発症した方は、発症年齢の倍以上の年限を健康に生きて行かねばならないのです。よく『ボケは足から』と言われます。体を使うことが重要です。よほどの大食漢でない限り、夜食をやめることと、できるだけ車は使わずに、歩くことを実践していただければ、健康は維持できると考えております。
健康増進目的に、行政の方で1週間に10万歩歩くとガソリン1Lサービスとか、1ヶ月に50万歩以上歩くとタクシー券サービスなんてやってくれませんかね?目的があると歩けますよね!
先ほども、言いましたが、生活習慣病には全く症状がありません。最近は、市役所、銀行、商店、職場にも血圧計を設置しているところもあり、比較的血圧は測定できる環境になっています。

しかし、血糖、尿糖、コレステロール(LDL、HDL)、中性脂肪を測定するには、健康診断、医療機関を利用しなくてはなりません。40-65歳の最も働き盛りの皆さんは、『自分は健康だ!仕事が忙しくて受診できない。』と変な自信を持って、健康診断を受けてくれません。館山市で行なっている総合検診でも、最も受けて欲しい若い世代の皆さんの受診者数が少ないことがとても残念です。
逆に、既に、何か病気を持って医療機関受診している患者さんは、きっと、主治医の先生も生活習慣病についてはチェックされていることと思います。館山市の総合健診受診者の6-7割は医療機関受診者です。

 

元来、健診とは病人(医療機関通院者)が受けるものではなく、全く医療機関を受診しない健康な方が受けるものであります。

 

館山市では、昨年から『みなし健診』制度が発足しました(館山市だけです)。受診医療機関から館山市の方へ、健診内容について報告する制度です。かかりつけ医によく相談して『みなし健診』制度をご利用いただきますようお願いいたします。

 

そして、皆さんの周りで、医療機関を全く受診していない方がおられたら、積極的に総合検診を受けるようにお勧めください。
皆さんの税金は、より有効に使いましょう。


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